NETWORK NEWS

大学入学者の「地元残留率」は過去10年で緩やかに上昇傾向 リクルート進学総研が報告

2023/02/24

 株式会社リクルートが運営するリクルート進学総研では、文部科学省「学校基本調査」を基に、全国の18歳人口や進学率、残留率の推移を経年でまとめている。今回、2022年12月21日に公表された「令和4年度学校基本調査(確定値)」を基に分析してまとめた「マーケットリポート2022」の一部を報告した。

 まず、18歳人口の予測について、2022年の小学校1年生は2034年に18歳になる。「学校基本調査」より2034年までの18歳人口を予測すると、2022年112.1万人から2034年には100.6万人で11.5万人減少。男女はいずれも減少トレンドで推移し、エリア別減少率1位は東北(2022年比▲19.1%)、減少数1位は近畿(2022年比▲2.3万人)。42都道府県中、35都道府県が減少率10%を超える。一方、増加するのは沖縄(+5.3%)、東京(+2.6%)、福岡(+0.2%)の3県のみ。

 次に現役生の進学率だが、大学55.3%、短大3.7%、専門学校16.7%。4人に3人は現役で進学している。過去10年(2013年-2022年)の推移を見ると、大学+7.9ポイント、短大▲1.7ポイント、専門学校▲0.3ポイントで、2022年短大進学率は4%をきった。大学進学率1位は東京(69.8%)、短期大学進学率1位は大分(7.2%)、専門学校進学率1位は新潟(26.8%)となり、都道府県別で各高等教育機関への進学率は状況が異なることが分かる。

 大学進学者の地元残留率ランキングは、1位北海道、2位東海、3位南関東。過去10年(2013年-2022年)で地元残留上昇率を見ると、1位北陸(111.0)、2位甲信越(107.6)、3位東北(106.8)だった。なお()内は2013年を100とした指数。地元残留率は直近10年で見ると緩やかに上昇傾向にあり、2016年から始まった定員管理の厳格化やコロナ影響より前の2013年と比較しても、地方において地元大学へ進学する率が高まっている。

 リクルート進学総研によると、全体傾向としては高等教育機関への進学率は高止まりするも18歳人口の減少で進学者の減少が加速しているが、エリアごとのマーケット状況はかなり異なることを指摘。大学進学者の地元残留率と18歳人口減少率をマッピングして都道府県別のマーケットを見立て、エリア特性に合った学生募集活動が必要としている。

 進学検討時の重視項目を高校生に尋ねると断トツのトップは「学びたい学部・学科があること」(76.2%)。加えて、地元以外に進学する理由は1位「行きたい学校が地元にはなかったから」(55.0%)、2位「学びたい分野を学べる学校が地元にはなかったから」(44.9%)、3位「新しい土地で新しい経験をしたいから」(40.1%)がトップ3を占める。募集活動において「地元残留」「地元外流入」を呼び込むには、大学の個性を明確にし、オンリーワン価値の最大化が求められる。

参考:【リクルート進学総研】『リクルート進学総研』マーケットリポート 2022 大学入学者の地元残留率は過去10年で緩やかに上昇傾向(PDF)

大学ジャーナルオンライン https://univ-journal.jp/210960/

一覧に戻る