2019/07/25
広島大学の6月27日付ホームページによると、同大学大学院工学研究科の辻敏夫教授、同博士課程後期2年の古居彬氏(日本学術振興会特別研究員)らを中心とする研究チームは、兵庫県立福祉のまちづくり研究所、近畿義肢製作所との共同研究を通じて、独自の筋シナジー理論とバイオミメティック制御に基づく3Dプリンタ製・高機能筋電義手の開発に成功した。
筋電義手は、筋が収縮する際に発生する筋電位信号を用いて操作する電動義手。事故や病気で上肢を失った患者に対して処方されるが、人間の手に匹敵するような筋電義手を実現するためには、使用者の動作意図の高精度な推定と、推定された動作に基づく自然で滑らかな操作性の2つを同時に実現する必要がある。今回の筋電義手は、独自に開発した筋シナジー理論に基づく動作識別法とインピーダンスモデルに基づくバイオミメティック制御を導入することで、これらの課題を解決。さらに、各指の独立した単一動作のみをシステムに機械学習させるだけで、学習を行っていない多様な組み合わせ動作の制御に世界で初めて成功した。義手を動かすために必要な機能が小型回路上で完結しており、義手本体のパーツは3Dプリンタを用いて印刷。高度な機能の義手にもかかわらず、製造コストの削減、メンテナンス性の向上も実現した。
今回の研究成果は、科学誌「Science Robotics」に掲載された。